ふんどのりんごや 橋本果樹園

昭和30年から続くりんご・さくらんぼ農家 橋本果樹園の3代目 橋本明人さん。高校・大学と農業を専攻し、営業職を経験後「農業を続けなくては」という思いから自然と実家にて就農。オリジナルの品種開発や漢方を使った生産などオリジナリティ溢れる施策を次々と行う「ふんどのりんごや 橋本果樹園」さんにお話をお伺いいたします。

全国で2件! 漢方薬の粉末を使った無農薬栽培「漢方未来農法」でさくらんぼを栽培

-橋本さんは全国でも珍しい栽培方法でさくらんぼを育てていらっしゃると聞きました。ご説明いただけますか?

「漢方未来農法」という漢方薬の粉末を使った溶液を採用し、無農薬栽培に取り組んでいます。漢方未来農法を使用したさくらんぼの栽培は、全国で私を含め2戸しか行っていません。そのまま舐めても安心な漢方薬を使って育ったさくらんぼは、えぐみが無くポイポイっと食べられます。食べ始めたら、いつの間にかなくなっている、そんな、さくらんぼ作りを目指しています。さくらんぼ狩り体験の時は、漢方薬も味見してみてください

オリジナル品種 「真っ赤なりんご いわせっ娘」

-オリジナルの品種のりんごも栽培されていらっしゃるんですよね。

商標登録済の等事業所のオリジナル品種「いわせっ娘」という品種を生産しています。
りんごは、主に父が主体で生産しており、いわせっ娘を中心にほとんどを贈答用として全国に出荷しています。「いわせっ娘」は見た目が真っ赤で色鮮やか、味はすごくジューシーで後味のさっぱり感が特徴です。無農薬では無いですが味も量も落ちないよう毎年農薬の調整を行い安定した収穫を目指しています。

艶のある深紅が特徴の「いわせっ娘」下からライトを当てると透き通る。蜜が詰まっている証拠だ。

年末は、リンゴ・りんご・林檎!!

-生産されている中でのこだわりややりがいなどございますか。

とにかく気配りをしています。365日中330日は畑に出て果樹たちの具合を見て手入れをしています。日々の作物の状態にも左右されるため、何日までに何の作業をする、という計画は通用しません。

りんごの最盛期は11月~12月です。毎年お客様から贈答用の発注を頂き年末にかけてバタバタと忙しいですが、とてもやりがいを感じています。この時期は毎日りんごの発送に追われるため、一息ついたと思ったら、いつの間にか年を越しています(笑)

昔は、父が収穫して余ったりんごをトラックに積み、関東圏に行商人として出向いていました。その頃のお客様とは今でも交流が続いています。幼い頃、私も父のトラックに乗せられて行ったことを覚えています。SNSなどでPRが当たり前の現代とは違い、自ら出向いて奮闘した父の頑張りが今に繋がっているのだと思います。そんな父の頑張りを知っているからこそ、私自身の『自分の顧客』を増やしていくことが今後の課題だと感じています。

-ご苦労もありますか?

本当に天候には毎日、毎年苦しめられます。

20数年果樹を営んでいますが、平成29年10月の連続の大型台風の被害が過去最大でした。主に生産しているりんごの品種の収穫時期が11月から12月ですので、あと少しで出荷できる矢先の事でした。全体の6割のりんごが枝から落ち、廃棄となりました。私たちのりんごを待っていてくださるお客様の希望に沿えず、お断りすることもありました。果樹畑が一面、真っ赤なりんごの絨毯になった時の悔しさは、忘れられません。

春に暖かい日が続くと桜の開花が例年より早まります。その年は果樹の開花も同様に早まり、霜被害の心配が出てきます。寒いと人は体をギュっと小さくしますよね、大の字にしていると寒いからです。果樹の花もまた、花びらが開いてしまうと早いと寒さにぐっと弱くなります。花に被害が出ると交配用の花粉が収穫できず、果樹の育成に影響がでてしまうため、日々の天候に注意を払っています。

素晴らしい眺望の中での農業体験

-今後の果樹園の展望や思いなどをお聞かせいただけますか。

平成29年から果樹栽培に専念するため、思い切って長年続けてきた米作りをやめました。今後は人手不足も懸念されるため、規模を少しずつですが縮小していこうと思っています。反対に栽培する銘柄を増やして年間で長期間の生産・販売を目指します。

また、独自商品『いわせっ娘(いわせっこ)』をPRしていきたいと思っています。

-今後グリーンツーリズムなどを通して発信や伝えていきたいことなどはありますか。

りんご・さくらんぼ狩りは希望に応じて行っており好評をいただいています。
4~5月には花粉を作るための摘花作業や受粉をさせる交配作業があります。果樹畑としては市内では西の最果てに位置しており風は強めですが、晴れた時には東に新幹線、西に山々が見渡せます。春には白い可憐なりんごの花に囲まれて農業体験を、夏・秋には緑に囲まれて自慢のりんご・さくらんぼを収穫体験してみませんか?

リンゴの木のトンネルが出迎えてくれます♪

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