渡辺果樹園

昭和初期から続く渡辺果樹園、現在農園を運営する喜則氏は4代目。元々は家業である農業に対してあまりいいイメージを持ってなく別の仕事に就くことも考えていたとのこと。現在では多くの農家が行うようになってきた消費者への直接小売にも早くから取り組まれるなど、新たな農業の可能性を探求する、渡辺喜則さんにお話を伺いました。

昭和初期から続く果樹農園 将来を見据えた消費者の直接販売をいち早く導入

渡辺農園のブランド洋梨「レクチェ」

 

「実家は、地元の中でも広く経営している果樹農家でしたが、私はもともと継ぐつもりがありませんでした。その頃は農業に対して正直、いいイメージがあまり無く、ひかれるものが有りませんでした。」と渡辺さん。

しかし、今でこそ多くの農家が実践している「業者との直接取引」を御両親がすでに始めており、固定客を獲得している姿を間近で見て“自分が継いだら、今よりもっといい方向へ成長できるのではないだろうか”と思うようになったそうです。また、東京の百貨店で実家の梨が販売されているのを当時お付き合いをされていた現在の奥様が見て『跡を継がないのはもったいない!』と言ってくれたこともあり、今後の農業への可能性を信じて、2000年に(22)歳で就農を決意されたそうです。

「特別栽培」認証・JGAP認証の取得

最低限の農薬の使用でも綺麗で艶のある梨

 

渡辺さんの代になられて意識している点・こだわっている点をお聞きいたしました。

作物は、自分にとって子供のようなもので、可愛がった分だけ美味しい実をつけてくれます。私たちは、作物の健康状態を把握しながらその時に出来る作業を行い、作物が最大限の力を発揮してくれるよう手間暇を惜しむことはありません。

それを前提に現在は、農薬の使用を通常工程の半分以下に抑え、化学肥料や除草剤を一切使用しない「特別栽培」の認証を2004年から2017年まで継続して取得してきました。今後はこの取り組みを継続しながら、JGAP認証(※)の取得を目指しています。
※JGAP(Japan Good Agricultural Practice:農業生産工程管理(2018年2月末に審査予定)

危機意識とさらなる進化

渡辺果樹園さんはご両親の代から消費者との直接販売を始められるなど先進的な取り組みもされていて渡辺さんの代になられてその取り組みがさらに拡張しているようにお見受けしますが意識的にノウハウの蓄積や流通の勉強などもされてるのでしょうか。

私たちが就農した次の年の2001年4月に、霜害で大部分の梨が被害に遭い、収穫量が激減しました。決意をもって就農し、これからという矢先の出来事でした。

その年は当然収入も激減してしまい、取引先の小売店へ働きに行くことになりました。始めは悔しさを感じていましたが、いざ働いてみると普段自分が関わっている「生産」とは違う分野の「流通」や「販売」はどれも新鮮で、多くのことを学ぶ良い経験となりました。このとき学んだノウハウは今の自分の農業に活かされていると思っています。

農業において自然災害は、つきものです。大雨・大風に始まり、霜・台風・雹など様々な天気が、いつ何時襲ってくるか分かりません。現在はその年の災害を教訓に、圃場(※)すべてに多目的防災網を設置し、外の刺激から守るようにしています。また、季節外れの寒さも油断できません。霜の予報が出たときは、防霜ファンだけでなく火を焚くなどして、圃場内の温度を下げないように気を付けています。夜間から日の出前にかけて気温が下がるため、一晩中焚き続けることも有ります。終わる頃には、顔や鼻の穴まで真っ黒になります。

危機意識を高く持って、その時に自分ができることを全て行うようになったと感じています。現状維持で満足することなく、常に進化し続けることを目標にしています。

(※)圃場(ほじょう)…畑のこと

グリーンツーリズを通して消費者との交流を深めたい

梨の人工交配の作業風景

 

今後の果樹園の展望や思いなどをお聞かせいただけますか。

自分が自信をもって美味しいと思うものでなければ販売は出来ません。そのために育成する品種を厳選することもしました。圃場面積を年々拡大していますが、日々の手入れを怠ることはしません。

常に改善を心掛け、お客様に変わらないおいしさをお届けすることを信条としています。

年間を通して手塩に掛けた果物を収穫できる時、そしてその果物を楽しみにしていたお客様にお渡しできる時、農業をしてきてよかったなあ、と感じますし、自分が自信をもって育てたものを「おいしい!」と言ってもらえるのは最高にうれしいです!!

今後グリーンツーリズムなどを通して発信や伝えていきたいことなどはありますか。

畑の中で「1年かかる果物の栽培工程」のお話会や、作業の体験会開催したいです。例えば4月の下旬に1週間行う「梨の人工交配体験」などは、いつもはパートさん(20人ほど)をお願いしていますが、かつて地元の中学生などに職業体験で行っていたものを復活させたい。もしくは一般で体験したい人を募って行てみたいと思っています。

西洋梨の収穫も、普段は一度にすべて収穫してしまうため、収穫時期を見定める必要があるが、幅広い年齢層が作業可能なので、畑の空気感を味わいながら収穫の喜びを体感する機会を作っていきたいとも思っています。

実際に畑に足を運んでいただき果物の育つ工程や背景を知っていただくことで関心だったり、実際食べるときの美味しさなんかも変わってくると思うのでそういった機会を多く作っていければと思っています。

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